シュークリームを見つけた。
それはスーパーのアイスクリームのケースにあった。
間違った場所で冷凍されていた。
か、あるいは、冷凍されようとしていた。
これも出会いというものか。
シュークリームなんか要らないのだが、
どうしてもその、アイスクリームの上に
無造作にほうり投げられたシュークリームが食べたくなった。
当然誰にもわかることだが、それは別のお客さんが、
「やっぱりシュークリーム要らね」
と言って、ただ、シュークリームの棚まで戻るのが億劫で、
そこにほったらかしにしたもの。
あらまあ、奇遇だこと。
そんな出会いは、一生に二度もないかも知れないじゃーあーりませんか。
なわけで、スーパーのどうでもいいようなカゴに入れ、
レジに持っていった。
他のものもいろいろ入れていたのだが、レジの女性曰く、
「ドライアイスはご入り用ですか?」
「え?」
僕はかなり面食らって訊き返す。
実はちゃんと聞こえていたのだが、
ドライアイスが必要なものなんか入れた憶えがないので、
それを自分の頭の最高速でしゅびびと確認した。
「ドライアイスはご入り用ですか?」
女性がそう訊きなおすまでに、ちゃんと間に合った。
勝利。
「いえ」
そう答えるとき、僕は少し得意げだったかも。
しかし、ではなぜ彼女はそんなことを訊いたのか。
まさか、アイスクリームのケースから
シュークリームを取りだしたのを見ていたとか。
悪いこともしてないのに、なぜか変な汗をかく。
シュークリームは店を出るとすぐに、車の中で食べた。
でなきゃ意味ないやんか。
端の方は凍っているかも、
いや、かなり硬くシューアイスのようになっているかも知れん。
そう思いながら食べたものは、冷たかった。
ただ、冷たかった。
おわり。
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